みなさん、ヨガの練習する時、ヨガのクラスを受ける時に「オーム」って言葉を唱えますか?
宗教的な意味も多分に含んだ言葉なので、施設によっては禁止しているところも多いかもしれませんね。
私がリシケシで勉強している時のクラスメートが、「僕はヨガのテクニックは学びたいけれど、宗教的信仰はしたくないからオームは言えません。」と言っていました。
今では親友ですが、先生に言われた通ことに素直に従う典型的日本人(?)の私は当時びっくりしました。
さて、なんとなく宗教臭がプンプンするॐ(オーム)ですが、もちろん人々が古代から大切に唱えてきたのは様々な理由があります。科学的、宗教的、経験的に深く語られてきました。
なんとなく「オーーーーム。」と唱えていませんか?
オームが間違えではありませんが、本来の発音はAUMです。
[A] は五十音の最初の音。
[M] は最後の音。
[U] はその中間です。
(AとUを繋げて発音すると、自然にOになって、OMと聞こえます。)
ॐはインドの言葉ですが、同じように最初の音と最後の音を合わせた言葉は世界中で聖音として唱えられています。そう言えば、キリスト教の人って「アーメン」って言っていたような。仏教でも「なむなむ」って言っていたような。似てませんか?
AUMをゆっくりと発音してみて下さい。
3つのそれぞれの音は、身体のどこに振動しますか?
AUMを何度も唱えると、心と身体にどんな変化がありますか?
AUMを唱える科学的効果は、世界中で沢山の人が研究しています。
が、ヨーガは体験する哲学。答えは本ではなくて、自分で体感して見つけてみたいですね。
ちょっと哲学的にॐ(オーム)をみてみましょう。
【ヨガ・スートラの中のॐ】
八支則を教えてくれたパタンジャリに聞いてみましょう。ヨガ・スートラで出てくる一文、
PYS1-27 〝Tasya Vacakah Pranavah″(その名前はプラナヴァ)
ちょっと、いじわるして、サンスクリット語の原文です。日本語訳のヨガ・スートラでは「オーム」と訳してあるので、原文を初めて読むとオームの文字が無くて驚きます。
プラナヴァとはオームを指しているのですが、直接的な訳は「新しい音」。
しっかりと自分のオームを聞いてみて下さい。その音は、一度ずつ常に新しいのです。今はCDでオームを唱えているものもありますが、あなたにとって効果的なオームは、あなた自身が今唱えたオームの音の振動です。
レコーディングではなくて、自分のために唱えてみて!
話が脱線しましたが、ヨガ・スートラの内容に戻りましょう。
ところで、ヨガの成功とはとても難しいものです。
インドの伝統に従い、ヨーガでもグル(先生)に出合うことがヨガの成功にとって何より大切だと言われています。が、難しい。インターネットで検索できる現代でも、自分に最適な先生が見つけるのは難しいのです。テレビも電話もない数千年前のインドで、正しい先生を見つけるなんて至難のわざでした。
ヨガを心から求めているのに、グルに出合えない生徒のために、パタンジャリは道を教えてくれました。
グルのグルのグルの...一番始めのグルに道を与えてもらうのです。
それは、一度もこの世の中に汚されていない、永遠と続く魂(プルシャ)です。
私たちの本質であるプルシャは万人に存在しますが、中でも一度も迷うことなく純粋であるプルシャを、イシュワラ(自在神)と呼んでいます。
彼が、私たちのグルを辿っていくと、最初に教えを伝えてくれた先生です。
自在神を音にしたものがオームです。
その音を、繰り返し唱えることで、自分の内側を見る力が養われます。
そして、全てのヨガへの障害を取り除いてくれると言います。
無気力や病気、間違った妄想や、瞑想に集中できない心...、
想像してください。
オームは先生です。一人で座って、上手く集中できない時も、その障害を取り除いてくれる存在です。いつでも、必要とする時に寄り添ってくれます。
もっと、大切に大切にオームを唱えたくなりませんか。
大好きなヨガ・スートラの第一章。ついつい話が長くなってしまったので。
他の経典の中のॐは、改めてご紹介しますね。
Hari Om…
この記事を執筆した先生
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yuka先生 (ヨガ講師・バンスリ奏者)
ブログURL
http://s.ameblo.jp/aiiro-beniiro/インドを拠点にヨガとインド古典音楽の勉強を続けています。様々な形でアシュタンガヨガ、ハタヨガの指導。
・Tattvaa Yoga Shala-Ashtangayoga Teacher training 500hrs. (RYT500 取得)
・International Bansuri Academy 在学中