パワーヨガ、ヴィンヤサヨガ、ホットヨガなど、「ヨガ」と一言で言ってもその種類はさまざま。中には運動量が多く、ポーズも難しいなどハードルが高いものもあります。初めてヨガに取り組む人や、ヨガの基本をしっかり身につけたい人は「ハタヨガ 」がおすすめです。今回はそんな「ハタヨガ 」の歴史から魅力、代表的なポーズなどご紹介します。
1.ハタヨガの歴史
ハタヨガの歴史は古く、起源ははっきりと分かっていません。サンスクリット語の経典にハタヨガの概念が初めて登場したのは11世紀ごろですが、いくつかのポーズはそれよりさらに1,000年以上の歴史を持つと言われています。瞑想に入るための手続きとして発展してきたハタヨガですが、20世紀後半には西洋文化のエクササイズと融合し、欧米を中心とした多くの地域で人気となりました。
ハタヨガが広く実践されるようになってからは、伝統を受け継ぎつつアレンジが加えられ、アシュタンガヨガやパワーヨガなど多くの流派が生まれていきました。
2.ハタヨガの特徴
ハタヨガの「ハ(ha)」は、サンスクリット語で太陽の意味、「タ(tha)」は月の意味です。太陽と月、つまり陽と陰のエネルギーを呼吸により結びつけ、エネルギーの調和を図るのがハタヨガの目的です。ポーズと呼吸法に重点を置くことで、自分の内側への意識を高めることができます。ポーズは基本的なものが多いため初心者でも取り組みやすいのも特徴です。
3.ハタヨガの効果
ヨガの基本が身につく
ハタヨガでは、呼吸法やバンダなど、どの流派でも使えるヨガの基本を身に付けることができます。バンダとは、体内を流れるエネルギー(プラーナ)を外に逃さないよう、喉や腹部を締め付けることです。バンダを行うことで体がより安定し、ポーズの効果も高まります。
ハタヨガは、ヨガの基本的な考えである八支則を意識しながら行います。具体的な体の動きだけでなく、精神面においてもヨガの基礎を学ぶことができるんです。
適度なエクササイズ効果
ハタヨガのポーズは、初心者でも取り組みやすい簡単なものがたくさんあります。体力に自信がない人や体が硬い人でも気軽に行うことができます。ほどよいエクササイズ効果で、疲労感を感じることなくリフレッシュできます。
また、ヨガ上級者が体のメンテナンスとして行うこともおすすめ。キープ時間を長くしたり、負荷を高めたりすることで運動量を増やすこともできます。
リラックス効果
ハタヨガでは、お腹に空気を入れる腹式呼吸を行います。腹式呼吸には、副交感神経を活発にし、心身をリラックスさせる効果があります。体を適度に動かすことも緊張を解くのに有効です。意識を体の内側へ向け呼吸に集中すれば、日常のストレスを忘れることができますよ。
集中力強化
シンプルなポーズが多いハタヨガは、指先やつま先など体の末端にまで意識が向きやすくなります。自分の呼吸を聞きながら丁寧に体を動かすことは、集中力アップに効果的です。ハタヨガを習慣にすれば日常生活の集中力も上がり、仕事や勉強、家事を効率的に行うことができるようになります。
4.ハタヨガのポーズ6選
ダニュラーサナ(弓のポーズ)
背筋の強化や猫背改善に効果があるポーズです。胸が大きく開くので、ストレス解消にも効果的。
両脚が開きやすいので、腰幅で保つことを意識します。ストラップを使ってもいいでしょう。体を無理に地面から離そうとすると腰を痛めてしまうので、痛みを感じない範囲で行います。お腹が床についているため呼吸がしづらいですが、背中の方に息を入れるよう意識しながらゆっくり呼吸します。呼吸に合わせて体が前後に揺れてもかまいません。
シャラバーサナ(バッタのポーズ)
体の背面全体を強化する効果のあるポーズです。腹部を刺激するため、内臓の動きの改善にも効果があります。
手で足をつかまない分、弓のポーズに比べて体が上がりにくくなります。最初は手で床を押し、体を持ち上げましょう。肩甲骨を寄せるようにすると胸が開きやすく、体が上がりやすくなります。あごを少し上げてキープしますが、首の後ろがしわにならないよう注意します。
アルダマツィエンドラーサナ(半分の魚の王のポーズ)
上半身を大きくねじるポーズで、内臓の活性化ウェストのシェイプアップ、生理痛の改善などの効果があります。
腰をねじることに意識が向きすぎると背中が丸まってしまうので、上半身を上に持ち上げ、お腹を太ももに近づける意識で行います。お尻が浮いてしまう場合は、タオルやブランケットを折りたたんで置きましょう。肩の力は抜いて、首を長く伸ばし、肩とあごを離すように意識します。
サーランバサルヴァーンガアーサナ(肩立ちのポーズ)
代表的な逆転のポーズです。ストレス解消や血行改善、肩や首の強化に効果的です。
肩から爪先までが一直線になることが理想ですが、はじめのうちはお尻が出てしまってもかまいません。ポーズから戻るときは、膝を曲げ、ゆっくり動きましょう。肩が痛むのを防ぐため、ヨガマットやブランケットなど、ある程度柔らかさのある場所で行いましょう。生理中や、首や肩に痛みがある場合は行わないようにします。
ウッティタトリコナーサナ(三角のポーズ)
全身を大きく広げるポーズで、ストレス解消や全身のストレッチ、体幹の強化などの効果があります。
体を1枚の板のように薄く保つことがポイントです。感覚をつかむまでは鏡を見たり、壁の前で行ったりしてもいいでしょう。下の手に頼りがちですが、手を離してもポーズを保てるよう、体幹の力でポーズをキープします。体を倒すというより、斜め上に伸ばす意識で行いましょう。
マユラーサナ(孔雀のポーズ)
手首の力だけで全身を支える、難易度がかなり高いポーズです。手首の強化やバランス力・体幹の強化に効果的です。
みぞおちあたりに意識を集中し、体をまっすぐに伸ばします。難易度が高いヨガポーズでは、プロップスを活用しましょう。ヨガブロックを足の下に置いたり、ストラップで手の幅を固定したりすると、ポーズが取りやすくなります。
5.ハタヨガの注意点
簡単なポーズが多いハタヨガですが、自分の体の状態をよく見極め、無理をしないことが大切です。痛みや違和感を感じたらすぐにポーズを中止しましょう。タオルやブランケット、ヨガプロップスを使えば体の負担を少なくできます。キープ時間を長くしたり、負荷を高めたりするのはポーズに慣れてから。しっかり段階を踏めば、ストレスなくポーズを深めることができます。
おわりに
ヨガの基本がしっかり身につくハタヨガは、初心者はもちろん、基本に立ち返りたい経験者にも適したものです。ハタヨガは、始めやすく、長く続けられる魅力的なもの。あなたもぜひ気軽にハタヨガを始めてみてください。