みなさんは、「ヴィンヤサヨガ」という言葉を聞いたことがありますか。ヴィンヤサヨガは、ヨガに慣れてきた人や、汗をたっぷりかきたい人にぴったりのパワフルなヨガです。ヴィンヤサヨガの効果やポイント、注意点をご紹介します。

1.ヴィンヤサヨガとは

ヴィンヤサヨガとは

ヴィンヤサヨガとは、呼吸に合わせて、複数のアーサナを途切れることなく取っていくヨガのことです。一呼吸一動作が基本で、呼吸の流れを意識しながらアーサナを取ります。アーサナの一連の動きは「シークエンス」と呼ばれ、シークエンスにはさまざまな種類があります。途中で休憩を挟まず、流れるようにアーサナを取り続けるため運動量は高めです。

2.ヴィンヤサヨガの歴史

ヴィンヤサヨガは、アシュタンガヨガと呼ばれるヨガから派生しました。アシュタンガヨガとは、決まったアーサナを順番に取っていくことで、呼吸と動きの一体感を実感するヨガのこと。20世紀になってから誕生した比較的新しい流派です。アシュタンガヨガに影響を与え、現代ヨガの父として知られているクリシュナマチャリア師は、ヨガとは型にはまったものではなく、個人に合わせて柔軟であるべきと考えました。この考えは、ヴィンヤサヨガの自由なスタイルにも受け継がれています。ヴィンヤサヨガには創始者がいませんが、アメリカで生まれたとされています。代表的な指導者にはシヴァ・レイ、ショーン・コーン、シンディー・リーなどが挙げられます。

3.ヴィンヤサヨガの特徴

ヴィンヤサヨガの特徴

ヴィンヤサヨガは、前述の通り、アシュタンガヨガから派生したヨガです。アシュタンガヨガもヴィンヤサヨガも、複数のアーサナを流れるように取るというスタイルは同じですが、アシュタンガヨガがアーサナの順番が細かく決まっている一方、ヴィンヤサヨガではアーサナを自由に組み合わせられる点が異なっています。このため、自分の体力やヨガのレベルに応じて、負荷を低めたり高めたりすることができます。

それぞれのアーサナだけでなく、アーサナからアーサナに移る過程を重視する点もヴィンヤサヨガの特徴です。休みなくシークエンスを繰り返すことで集中力が高まり、呼吸と動きとの一体感を強く感じられるようになります。
ヴィンヤサヨガでは「バンダ」と呼ばれる概念も大切です。パンダとは、簡単に言うと、エネルギーを体の中に保つため、筋肉を引き締める行為のこと。これを行うことで体幹を強く保て、シークエンスをスムーズに行うことができます。

4.ヴィンヤサヨガの効果

ヴィンヤサヨガの効果

インナーマッスルの強化

ヴィンヤサヨガではダイナミックなポーズを続けて取ります。体を連続して動かす分、一つ一つのアーサナを個別に取るヨガよりも、インナーマッスルに働きかける力が強くなります。シークエンス中バンダを意識し続けることでさらに効果が上がります。呼吸に合わせてゆっくり動くこともインナーマッスルを鍛えるのに役立ちます。

柔軟性の強化

ヴィンヤサヨガは、手を大きく回したり脚を開いたりと体全体を大きく使うため、全身の柔軟性が高まります。アーサナからアーサナにスムーズに移るためにも筋肉の柔軟性が必要です。ヴィンヤサヨガを続けることで関節や筋肉がしなやかになっていきます。

代謝アップ効果

ヴィンヤサヨガでは、ダンスのように体を動かし続けるため、体温が上昇しやすくなります。リンパや血液の流れ、さらに発汗が活発になり、代謝アップやデトックスが促されます。代謝アップは、むくみや冷えの解消、ダイエットにもつながります。

集中力が高まる

ヴィンヤサヨガでは、呼吸とポーズをシンクロさせます。シークエンスを覚えるまでは、正しいアーサナを取ることに心が囚われてしまいがちですが、慣れてくると呼吸に意識が向くようになり、心を「今」に集中させることができるようになります。体全体に意識を広げ、一つ一つのアーサナを丁寧に取っていくことも、集中力を高めるのに役立ちます。

リラックス効果

リラックスするための手段の一つが瞑想です。瞑想と聞くと、あぐらをかいて行うというイメージがあるかもしれませんが、他にもいろいろなやり方があります。瞑想の基本は、雑念を払い、呼吸に意識を向けること。「動く瞑想」とも呼ばれるヴィンヤサヨガでは、同じシークエンスを繰り返すことでどんどん頭の中がクリアになっていき、瞑想状態に入ることができます。シークエンス中はもちろん、終わった後も穏やかな心を感じることができます。

5.ヴィンヤサヨガのシークエンス

ヴィンヤサヨガ のシークエンス

ヴィンヤサヨガは、ヨガ実践者が自由にシークエンスを作ることができます。このため、数え切れないほどのシークエンスがありますが、その中でも最も有名で基本的なものが太陽礼拝です。代謝アップやリラックスなどシークエンスを通しての効果の他に、例えばダウンドッグは肩こり解消、アップドッグは背中の柔軟性を高めるなど、アーサナごとにそれぞれ違った効果があります。

フローの中で体を大きく動かしますが、シークエンス中は背中が丸まらないように注意しましょう。特に前屈後のルックアップでは、背中や腰が曲がりやすくなります。体を床とまっすぐ平行にすることを意識しましょう。

特にダイナミックなポーズであるダウンドッグでは、背中をまっすぐすることに加え、肩をしっかり引くことや、お尻を斜め後ろに引くことなど注意するポイントがたくさんあります。初めのうちは鏡でアーサナを確認しながら行ってもいいでしょう。

太陽礼拝に限らず、シークエンスは繰り返すうちに体が温まり、柔軟性が増していきます。無理をしない範囲で少しずつアーサナを深めていきましょう。

6.ヴィンヤサヨガの注意点

ヴィンヤサヨガのポイントは呼吸です。シークエンスに夢中になるあまり、呼吸が乱れたり止まったりしないよう注意しましょう。アーサナに呼吸を合わせるのではなく、呼吸にアーサナを合わせます。呼吸が乱れたら、アーサナを止めて呼吸を整えることを優先しましょう。

高い効果を得るためには、アーサナを途切れずに行うことも大切なポイントです。さまざまなシークエンスを試すのはいいのですが、アーサナをなめらかに取るためには、まずは一つのシークエンスを続けて行い、覚えてみましょう。

おわりに

少し難易度が高いように感じるヴィンヤサヨガですが、その分効果も実感しやすくなります。流れるような動きに身を委ねる快感は、他のタイプのヨガではなかなか味わえないものです。
みなさんもヴィンヤサヨガで、体と心をリフレッシュさせませんか。