「ヨガと仏教ってなんとなく似ているような・・・」
ヨガの哲学の部分に触れるようになると、子どものころに親やお坊さんから聞いた言葉に出会うことはありませんか?ヨガと仏教には似ているところも違うところもあります。ここで一度、ヨガと仏教の考え方を簡単におさらいしてみましょう。
ヨガの世界
ヨガと仏教で大きく違う点の一つに、神・魂・自分に関する世界観があります。まず、ヨガではアートマンと呼ばれる、変わることのない自分(真我)があり、宇宙をつかさどる神があるとしています。この真我と、私たちが今自分自身で認識している「私」には大きなズレが生じています。このズレは、過去の経験や情報から、「エゴ」という真我とは違う「思い込みの自分」が作られてしまうことから生まれます。
多くの苦しみの元は、この「エゴ」によって「真我」からのメッセージを受けられないことにあると言われています。このエゴを取り払って真我に出会うために、神を信じ、ヨガを行うという流れになっていきます。少し難しいですが、「これって私が本当にしたいことなのかな?」「私のしたいことって何?」と思ったことはありませんか?その答えを見つけやすくするためにヨガを行うイメージです。
仏教の世界観
一方、仏教の世界観はヨガとは大きく異なっています。流派によっても変わりますが、仏教では神や真我というものを、心によってつくられたものに過ぎないとして、その存在を否定しています。その代わりに、カルマ(業)や、輪廻転生で世界の仕組みや自分という存在を説明しています。
カルマ(業)とは何かの結果を伴う「行為」のことです。この業の善悪によって良い結果、悪い結果が生まれて、輪廻転生によって来世にまでこの業による結果が引き継がれていくとされています。初期の仏教では、この輪廻転生から抜け出すこと(解脱)が目的とされていました。ヨガは仏教の中の一つの修行法として取り入れられ、日本では座禅という形になっています。
瞑想や倫理観には共通するものも
このように、世界観では大きく異なる仏教とヨガですが、共通点もたくさんあります。例えば、どちらも瞑想を通じて自己を高め、見えにくくなっている真実を見ようとする姿勢は同じです。ほかにも、ヨガの八支則のヤマ(禁戒)にある不盗(必要以上に欲しがらない)、非暴力(他人や自分に暴力的にならない)、不貧(執着しすぎない)などの価値観は共通しています。特に、ヤマ(禁戒)・ニヤマ(勧戒)については、お寺でお坊さんのお話しを聞いたことがある人なら、耳に覚えがあるものが多いのではないでしょうか。こういった点から、欧米ではヨガと仏教を「兄弟のようなもの」として説明しているサイトもあります。
深く知れば、もっと楽しく
少し難しい内容になりましたが、いかがでしたか?もちろん、こういった部分を切り離して、単純なスポーツとしてヨガを楽しむことも間違った方法ではありません。でも、ヨガが他のスポーツが大きく違うのは「精神性」を重視していること。ヨガについて深く知れば知るほど、あなたのヨガがもっと充実したものになっていくはずですよ。