パタンジャリさんが書いた実践的なヨガ・スートラでのオームの説明に引き続き、もうちょっと哲学的な文献のオームもみていきます。
おなじみのクリシュナの教え、バガヴァット・ギータを見てみましょう。
オームは「一音のブラフマン」だと書かれています。
・ヨガ・スートラの中ではイシュワラ(自在神)。
・ギータではブラフマン(宇宙の原理)。
どちらの経典でも、永遠と続く最も純粋な存在を指していますね。
ブラフマンとは、宇宙全体を表す原理であり、私たちもブラフマンと同一だとゆうのが、ギーターも含むヴェーダンタの根本的な考えです。
【マンドゥカ・ウパニシャッド】
ॐという聖音だけについて書かれた経典マンドゥカ・ウパニシャッドについて書いてみます。
(マンドゥカと言えば今はヨガマットのメーカーの名前で有名ですね。私も大変お世話になっています!)
日本では馴染みが薄いかもしれませんが、ॐ(オーム)についての経典と言えば、マンドゥカ・ウパニシャッドです。日本語訳は出版されているのでしょうか?本文だけは簡単にブログで訳を載せたので、興味のある方はご覧下さい。(通常は解説と共に読まれますが、原文のみの訳です。)
http://blog.livedoor.jp/yukamangalam/archives/1008670603.html
マンドゥカ・ウパニシャッドでは、ॐを音ごとに4つに分けて説明しています。
1) [A] 起きている状態。世界の全てを含む。始まり。
2) [U] 夢の状態。とても細微。内側に向かう意識。
3) [M] 深い眠りの状態。全ての始まりで、終わり。途切れない、区別されない至福。
4) [ ] 無音。実体のない、性質のない、完全な休止により現れる静寂。アートマン。
オームは、途絶えることのない不滅の言葉であり、世界全てを包んでいます。
文字に表すとAUMと3文字で表されるॐですが、実は4つの要素から構成されています。
その4つの段階は眠りの状態に例えられます。
4番目に当てはまるのは、永遠の完全なる静寂です。
それを体感するのはとても難しいことです。
眠りに例えられます。夢を見ない深い眠りであっても、起きた時に「私は眠っていた」と認識できますね。それは深い意識が働いているためです。その意識さえ離れた先の、完全に思考が止まっている状態が、一番深い眠りの段階。
様々なヨーガで到達できるのも、この状態だと言われています。
まずは、音を出したオームを唱える練習からはじめます。
または、A:U:Mそれぞれを一音ずつ発音して体感するのも良い方法でしょう。
充分に練習したら、今度は音に出さずにオームを唱える練習を繰り返します。
難しければ、吐く呼吸で音に出し、吸う呼吸に心で唱えてるのも良いです。
練習を続けることで、その静寂は、いつか自然に表れてきます。
少しずつ心が静かになり、思考や感情、感覚が消えていくプロセスの先に訪れます。
静寂という平和、至福、それが本来の自分です。
Hari Om…
この記事を執筆した先生
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yuka先生 (ヨガ講師・バンスリ奏者)
ブログURL
http://s.ameblo.jp/aiiro-beniiro/インドを拠点にヨガとインド古典音楽の勉強を続けています。様々な形でアシュタンガヨガ、ハタヨガの指導。
・Tattvaa Yoga Shala-Ashtangayoga Teacher training 500hrs. (RYT500 取得)
・International Bansuri Academy 在学中